人手不足だと1人当たりの負担が大きくなり「しんどい!」「もう辞めたい!」と考える人も多いはずです。しかし辞めようとすると、上司や周りの人から引き止められて辞めづらくなってしまうことがありますよね。
今回は「人手不足でパートを辞めさせてくれない!」とお悩みの人に向けて、辞めさせないことの違法性や対処法について詳しく解説していきます。
- 人手不足でもパートを辞めてもいい
- パートを辞めさせないのは法律違反の可能性がある
- 上司が話を聞いてくれないときは、人事部に直接相談するのもアリ
- どうしても辞められないときは退職代行に頼ろう!
【前提】人手不足でもパートは辞めて良い!
大前提として、会社が人手不足だったとしても辞めて問題ないです。
人手不足の時に辞めようとすると、会社から「もう少し頑張って欲しい」と引き止められたり他の従業員から「忙しいのに辞めるなんて非常識」「みんな頑張っているのに逃げるなんて卑怯だ」と言われたりするかもしれません。
しかしこんなこと全て気に留める必要はないです。
また慢性的に人手不足で忙しい会社は、あなたが辞めなくても、そのうち他の人が限界を感じて辞めていきます。そうなるとますます人手不足になって辞めにくくなりますよね。
人がどんどん減っていくと会社の業務が回らなくなり、最悪の場合は倒産もあり得ます。「無理して働いた結果、会社と共倒れ」ということにならないように、素早く退職したほうが賢明です。
人手不足を理由に退職を引き止められる法律は一切ない
法律では、退職を伝えるタイミングや退職できる条件などの法律はありますが、「会社が人手不足の場合、退職することはできない」といった法律はないです。
パートやアルバイトで1年間など雇用期間が定められている場合は、原則として契約期間中に退職することはできません。しかしこれは「雇用期間」の問題であって「人手不足」は全く関係ないです。
たとえどんなに人出不足で職場が忙しくても、契約期間が満了したら退職することができます。
オイトマスタッフ
退職することを理由に違約金や罰金を払わせるのは、労働基準法に違反しています。違約金を恐れて退職に尻込みする必要はありません。
また違約金の内容が労働契約書に記載されていたとしても、支払わなくていいです。
人手不足なのはあなたの責任ではなくパート先の責任
真面目な性格の人ほど、「辞めたいけど、辞められない」と考えているのではないでしょうか。
確かに人手不足の状態であなたが退職してしまったら、残された人はあなたの抜けた分を穴埋めしなくてはいけなくなります。業務量が増えるのはもちろん、残業も多くしなくてはいけないかもしれません。
しかしそもそも「人員不足」になっているのは、あなたの責任ではありません。人員不足になっている原因は、足りない分の人員を確保したり労働環境の改善をしたりしない会社の怠慢にあります。
人員不足はあなたのせいではないのですから、辞めたい気持ちを押し殺して無理に働き続けなくてもいいのです。
人手不足でパートを辞めさせてくれないのは法律違反
繰り返しになりますが、パート先が人手不足だったとしてもパートを辞めて問題ありません。というのも労働者には憲法で「退職の自由」が認められており、この労働者の中にパートやアルバイトの人も含まれるからです。
〔奴隷的拘束及び苦役の禁止〕
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
引用元:日本国憲法
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm#3sho
パート先は「辞めたいです」といった従業員を「人員不足」という会社の都合で、無理に働かせ続けることはできません。
労働者を解約させないのは民法第627条に反している
先に労働者には「退職の自由」が認められているとお伝えしました。さらに民法第627条には以下のように示されています。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。(民法第627条抜粋)
引用元:e-Gov検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
簡単に言うと「退職します!」と退職の意志を伝えて2週間経過すれば、会社の都合は関係なく退職できるということです。
たとえ会社から「人を入れるから一緒に頑張ろう」「もう少しだけ待ってほしい」といった引き止めを受けていたとしても、2週間後から職場に行く必要はなくなります。
人手不足を理由にパートを辞めさせてくれない時の対処法
法律上「退職の意志を伝えれば2週間で辞められる」と決まっていたとしても、実際に退職するとなるとなかなかうまくいかないはずです。
ここでは人手不足を理由にパートを辞めさせてくれない時の対処法を5つご紹介します。
- パート先の本社や人事部に連絡する
- 録音を用意して労働基準監督署に相談する
- 退職届を内容証明でパート先に送る
- パートをバックレる
- 退職代行に依頼して全ての対応を任せる
対処法①パート先の本社や人事部に連絡する
退職の意志を伝えるときに「直属の上司に直接伝える」のは社会人としての基本のマナーです。
しかし人手不足の会社で上司に退職の相談をしても「もうちょっと待ってほしい」「少し考え直してくれないかな」などとかわされてしまい、そこから話が一歩も進まないことがあります。
このようなときには、上司を飛ばして本社や人事部に相談をしましょう。本来ならば伝える順番を守るべきですが、上司に聞き入れてもらえないなら仕方ありません。
本社や人事部に退職の旨を伝えれば、意外とすんなり話が進むことも多いです。担当の人に「なぜ上司に言わないの?」と聞かれたら、「上司に言っても、聞き入れてもらえなかった」と正直に言って問題ありません。
ただしこの方法を使うと上司との信頼関係が崩れてしまうので、退職まで上司と気まずくなることだけは覚悟しておきましょう。
対処法②録音を用意して労働基準監督署に相談する
個人の会社のため本社や人事部がない場合は、労働基準監督署に相談するのも手段の一つです。
労働基準監督署は職場の労働条件やいじめ、嫌がらせなどの相談を受け付けています。もし会社に労働基準法の違反が認められ、必要があれば立ち入り調査や是正勧告、改善のための指導を行ってくれます。
労働基準監督署に相談に行くときは、上司が退職を聞き入れない様子をボイスレコーダーで録音して証拠として持っていきましょう。
しかし「退職したいのにできない」といった問題で、労働基準監督署がいきなり会社に連絡したり指導をしてくれたりすることはごく稀です。
まずは「このようなときどうしたらいいのか」というアドバイスをくれますので、それに従って対処してみましょう。
対処法③退職届を内容証明でパート先に送る
上司がどうやっても話しを聞いてくれないときは、少し強引ですが退職届を内容証明で職場に送り付けるのも効果的です。
というのも「退職届の受け取り=会社が退職を認めた」ということになるからです。郵便物は中身を空けなければ何が入っているかわからないので、たいていの物は受け取ってしまいますよね。
ただし普通郵便で送ってしまうと、送ったことはあなた本人にしかわかりません。会社に「そんなものは受け取ってない!」と言い張られてしまったら、おしまいです。
確実に会社に届いたことを証明するために、退職届は内容証明郵便で送りましょう。内容証明は「いつ」「誰が」「どんな内容を」「誰に」「いつ届けた」ということを、郵便局が証明してくれる郵送方法です。
ただしこの方法も上司に不意打ちを食らわせることになるので、退職まで上司と気まずくなります。
対処法④パートをバックレる【リスクだらけなので要注意】
この対処方法は正直あまりおすすめできませんが、バックレるという手段もあります。ある日突然職場に行かずに連絡も断ってしまえば、会社から逃げることができるかもしれません。
しかしバックレには以下のようなリスクがあります。
- 上司が自宅に押しかけてくる
- 最後の給料を「職場に取りに来い」と言われる
- 他の身内に連絡される
- 懲戒解雇される可能性がある
- 損害賠償請求される恐れもある
「パートで懲戒解雇や損害賠償請求なんて大袈裟な!」と思われるかもしれませんが、バックレは退職の意志を示していないので無断欠勤扱いになります。
無断欠勤を続けると十分懲戒処分の可能性があります。懲戒解雇は次の就職が不利になる恐れがあるので、注意が必要です。
またあなたのバックレによって職場に大きな損害が出た場合は、損害賠償請求されることもあります。実際のところ損害賠償請求はほぼないといえますが、可能性はゼロではないということを知っておきましょう。
対処法⑤退職代行に依頼して全ての対応を任せる
どうやっても自力での退職が難しいときは、退職代行に依頼して全て身を任せてしまうのもいい方法です。
退職代行なら自分で退職の意志を伝えなくても、バックレにならずにスムーズに退職することができます。バックレで様々なリスクのある退職をするくらいなら、退職代行の利用がおすすめです。
- 自分で退職の意志を伝えなくていい
- 会社に行かずに退職できる
- 上司に会わずに退職できる
- 即日退職可能
- 有給や未払残業代の交渉ができる
- 最後の給料もしっかりもらえる
退職代行を利用すれば、人手不足で全く使えていない有給や時給のつかない残業に関してもしっかり交渉してくれるので、自分の希望に沿った退職が実現できます。
人手不足でも引き止めにあいにくい退職理由
退職理由というのは本来どんな理由であっても「一身上の都合」でいいのですが、それだけで納得してくれる上司はなかなかいませんよね。
人手不足でも引き止めにあいにくいおすすめの退職理由は、以下の通りです。
- 正社員での転職が決まった
- 体調不良のため働き続けることができない
転職先が決まっていると、退職するしかなくなります。上司には「この忙しいときになんで?」という不満は持たれるかもしれませんが、引き止めにはあいにくいはずです。
また体調不良の人を無理に働かせると会社は安全配慮義務違反になる可能性があるので、引き止められる可能性は低いでしょう。ただし会社によっては診断書の提出を求められることもあります。
人手不足のパートを辞めた人の体験談
人手不足の会社を実際に辞めたパートの人達は、いったいどのような体験をしているのでしょう。
ここでは3人の元パートの人達の体験談をご紹介します。人手不足のしわ寄せが全部自分にきていたり、しつこい引き止めがあったりなど、すでに経験されていることもあるのではないでしょうか?
体験談①人手不足の負担が自分に来て耐えられなかった女性
年齢:30代
勤続年数:2年
事務のパートで、最初は週2~3、1日4時間程度で少し物足りない感じだったのですが、1人退職されたことで、勤務が週4に増えてお給料も増えたので嬉しかったです。しかしそこからまた1人2人と辞めていって気がついたら、週5で1日8時間ひどければ残業までするようになっていました。正社員と同じなのにパートなのでお給料は低いまま、仕事は増える一方。正社員も「これはパートの仕事だから」と手伝ってくれない。いつまで経っても新しいパートを入れる気配もない。私が入った頃には7人いたパートは約半分になっていました。仕事が忙しくて家庭がおろそかになってしまい、もともと旦那とは「家庭に影響のない程度で」という約束だったので、上司に事情を伝えて退職しました。引き止められそうになりましたけど、退職日を書いた退職届を押し付けましたよ。
体験談②引き止めが面倒で退職代行に依頼した30代男性
年齢:30代
勤続年数:5年
ホームセンターで働いていました。売り場が広く重たい物もたくさんあったので、男手はかなり重宝されました。職場には店長と正社員が2人、パート・アルバイトが7人でそのうち男は店長と正社員と僕だけでした。本来パート・アルバイトは10人だったんですが、店長のパワハラで結構辞めて入れ替わりしていたんですよ。僕も常に辞めたいと考えていたんですけど、人に頼られるとどうしても断り切れなくて辞められずにいました。でも店長のパワハラに耐えられなくなったのかある日正社員の人が1人いなくなったんです。パートのことを結構かばってくれる人だったので、店長からの八つ当たりもひどかったんだと思います。その人が辞めてからすぐ店長に呼ばれて「お前は辞めないよな!?」と脅されました。怖くなってその日のパート終わりに退職代行を探して、すぐに依頼しました。どうなるのかなと不安でしたけど、店長から連絡がくることもなくあっけなく退職することができました。自力だったら、店長に負けてずっと働き続けていたと思います。
体験談③確固たる意志を持って辞める意志を伝えた30代女性
年齢:30代
勤続年数:3週間
私のいた職場はブラック企業のコールセンターみたいなところでした。電話の問い合わせはだいたい怒鳴り声。お客様の怒りが収まらなくて、上司に相談しても「そのくらい何とかしろ!」の一喝でおしまい。誰も助けてくれないからすぐ人が辞めて、入って、辞めての繰り返しでした。私も入って3日でギブアップ。確実に辞めるためにネットでいろいろ検索して、上司の無責任発言やパワハラ発言を録音することにしました。1週間もすると、結構証拠が貯まったのでいざ上司に退職を伝えに行くと、案の定「今辞められるわけがないだろ」と怒鳴られました。そこで録音データを取り出して、上司に聞いてもらい「退職できないなら、これ持って出るとこ出ますよ!」と宣言しました。上司もこれはまずいと思ったのか、退職に承諾してくれました。ちょっと怖かったですけど、勇気を出してよかったです。
人手不足のパートを辞める際によくある質問
パートなのに辞めさせてくれないのはパワハラではないですか?
パワハラには、以下のような基準があります。
- 職場の地位や優位性を利用しているか
- 業務の適正な範囲を超えているか、
- 精神的苦痛・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりしているか
上記の3点に当てはまった場合が、パワハラです。つまり上司にパートを辞めさせてもらえないことで精神的・身体的苦痛を受けた場合はパワハラになる可能性があります。
パートを辞める理由は噓でも大丈夫?
退職理由はなるべく正直な内容を伝えたほうがいいです。しかし内容によっては会社の不平不満だったり上司を不愉快にさせる理由だったりして、トラブルになる可能性があります。
特に職場が人手不足な場合上司は誰にも辞められたくないので、正直な理由を言って受け入れてもらえない可能性も高いです。
退職理由は、正直な内容を伝えるのが一番いいには違いありません。しかし納得してもらいやすい嘘を言うのもアリです。
パートは今日辞めますといって辞められる?
パートでも正社員でも原則退職できるのは「退職の意志を伝えてから2週間後」です。しかし会社の合意を得られれば、即日退職もできます。
しかし人手不足の会社に「今日辞めます」を納得させるほどの退職理由を用意するのは、かなり難しいですよね。
どうしても即日退職がしたいときは退職代行の利用を検討してください。退職代行ならどんな退職理由でも会社と粘り強く交渉してくれるので即日退職が可能です。
人手不足でパートを辞めさせてくれない!まとめ
会社が人手不足だったとしても、パートを辞めて問題ありません!労働者には「退職の自由」が認められていますし、会社が人員不足なのはあなたのせいではないです。
「引き止められてどうしても辞められない」というときには退職代行の利用を検討してください。退職代行を利用すれば会社と連絡を取らなくていいので、どんな退職理由でもスムーズに退職することができます。