育休の取得は「会社に復帰すること」を大前提です。しかし育児はやってみないと難しさや大変さなどわかることが多く、復職が怖い人も多いでしょう。
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この記事ではメリットやデメリットなど、育休明けの退職を成功させるためのポイントを解説していきます。
【結論】育休明けの退職は可能!退職率も高い
結論から言うと復職してすぐに退職することは、法律上なにも問題ありません。
育休は復職することを前提に取得可能な制度です。そのため一度復職していれば、受け取った育児休業給付金の返還を求められることもありません。
育児に関する制度が改善されてきているとはいえ、日本では育休後や出産前後の退職率が高い状態です。平成30年内閣府男女共同参画局の調査結果によると、2010~2014年に約34%の女性が第一子出産を期に退職していることがわかっています。
また退職した最も多い理由として「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」が挙げられていることからもわかるように、実際に復職した結果「育児と仕事の両立の厳しさ」を感じた人が多いようです。
育休明けに退職するメリット2選
育休明けに退職するのには大きく2つのメリットがあります。
- 金銭面での不安が少ない
- 育休中に資格を取れば転職の幅を広げることができる
家族が増えるとお金もかかるので、できるだけ金銭面に余裕が欲しいです。また転職の幅が広いほうが、キャリアだけでなく条件面でも希望通りの転職ができます。
金銭面での不安が少ない
育休明けに退職する場合、一度復職しているので育児休業給付金を満額受給できます。
また退職後に働く意志があれば失業手当の申請も可能です。さらに妊娠、出産、育児を理由に申請する場合、状況によっては「特定理由離職者」に認定される可能性があります。
特定理由離職者には以下のようなメリットがあります。
- 給付制限期間がないので申請後すぐに失業手当の支給がはじまる
- 一般の自己都合退職者よりも給付日数が多くなる
【一般的な失業手当給付日数】
加入期間 | 1年未満 | 1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
全年齢 | - | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
【特定理由離職者の失業手当給付日数】
加入期間 | 1年未満 | 1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上
35歳未満 |
120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上
45歳未満 |
150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上
60歳未満 |
180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上
65歳未満 |
150日 | 180日 | 270日 | 240日 |
通常の自己都合退職の場合給付制限期間の2ヵ月が過ぎなければ失業手当を受けることはできません。しかし「特定理由離職者」ならばすぐに失業手当が受け取れて、給付日数も多いです。時間的にも金銭面でも余裕を持って転職活動をすることができます。
育休中に資格を取れば転職の幅を広げることができる
育休中に育児のスキマ時間を使って勉強し、資格を取れば転職できる仕事の選択肢を広げることができます。同じ転職活動でも資格があるかどうかで採用される確率は大きく変わってきます。
スキルを上げられるという面はもちろんですが、資格があれば現職よりもよりよい条件で転職することもできるでしょう。
育休明けに退職するデメリット3選
育休明けに退職すると残念ながらデメリットもあります。
- 子供が保育園に入園できない可能性がある
- 転職先での時短勤務や休暇が取りにくい
- 新しい環境に慣れるまでストレスを感じやすい
転職すればその会社では新入社員です。慣れない環境で働いたり、会社の制度を使えなかったりといった不便が考えられます。
子供が保育園に入園できない可能性がある
子供を認可保育園に通わせて転職しようとしている場合、自治体によっては入園申し込み時の「就労証明書」と入園後の「復職証明書」の勤め先が異なると、入園が取り消されることもあります。退職する前に自治体の制度を確認しておきましょう。
ただし認可保育園がダメでも、子供を預ける手段はあります。
- 認定こども園
- 認可外保育所
- ベビーシッター
- ファミリーサポート
- 保育所の一時保育
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家事や育児に疲れてしまったときは、預け先をうまく活用して自分を追い詰めすぎないようにしましょう。
転職先での時短勤務や休暇が取りにくい
育児にかける時間が欲しくて転職したのなら、時短勤務制度はできるだけ活用したいですよね。しかし会社によって時短勤務制度は、入社1年未満の社員は利用できないこともあります。
「育児介護休業法」では以下の場合は、時短勤務の対象から除外することが認められています。
- 入社後1年未満の労働者(労使協定を締結している場合)
- 1週間の所定労働日数が2日間に満たない人
- 業務の性質上、時短での対応が困難の場合
また有給休暇は「労働基準法」によって労働者が取得することが定められていますが、入社後6ヶ月から付与することになっています。
時短勤務制度や有給休暇については、各会社でどのような制度になっているのか採用面接時に確認するようにしましょう。
新しい環境に慣れるまでストレスを感じやすい
育休明けばかりではありませんが転職した場合、新しい環境に慣れずストレスを抱え込みやすいです。さらに家に戻れば育児が待っているので、育休前と違ってリフレッシュする時間を取りにくくなります。
家族の生活を支えるためには働かなければいけないかもしれません。しかし転職のストレスが心身に影響を及ぼすことも考えられます。
退職のタイミングによって「育児休業給付金」が給付されないことがある!?
基本的に育休中や育休明けすぐに退職しても、もらった育児休業給付金を返還する必要はありません。
ただし最初から退職するつもりで給付金を受け取っていたことがわかると、返還だけでなく悪質な場合は罰金・詐欺罪になる可能性もあるので注意しましょう。
ここでは3つのタイミングで退職した場合、育児休業給付金がどうなるのかを説明していきます。
- 育休期間中に退職した場合
- 育休明けすぐに退職した場合
- 一度復職した後に退職した場合
タイミング① 育休期間中に退職した場合
育休中に退職した時点で育児休業給付金の支給は終了します。育児休業給付金は1ヵ月単位で計算され2ヵ月分がまとめて振り込まれる仕組みで、もしその期間中に退職した場合は日割り計算で支給してくれません。つまり退職日によっては給付金1ヵ月分を損することがあります。
例えば育休を5月3日から開始すると1ヵ月は5月3日~6月2日、6月3日~7月2日となります。
もし退職日を8月1日にした場合、7月3日~8月2日までの給付金は受け取れません。一方で退職日を8月2日にすれば、7月3日~8月2日までの給付金を受け取ることができます。
たった1日違うだけで受け取れる給付金の金額に大きく差が出ますので、よく考えて退職日を決めるようにしましょう。
タイミング② 育休明けすぐに退職した場合
育休明けすぐに退職した場合は育児休業給付金を満額受け取ることができ、返還の必要もありません。さらに社会保険料が免除される期間も全て使いきることができます。
ただし最初から復職するつもりのないのに給付金を受け取っていた場合、返金や罰金がありますので注意しましょう。
タイミング③ 一度復職した後に退職した場合
育休の前提通りに復職しているので、育児休業給付金は問題なく受け取ることができます。
しかし復職した後「育児と仕事の両立」が難しく、退職を選択する人も少なくありません。
育休明けに退職するおすすめのタイミング
育休明け退職するのにおすすめのタイミングは2つあります。
- 育休明けてすぐ
- 復職して仕事と育児の両立に慣れてから
状況にもよりますが、ベストなのは「育休明けてすぐ」です。それぞれのタイミングがおすすめの理由をご紹介していきます。
育休明けすぐの退職がベスト!
育児休暇が取りやすくなったといっても、全ての会社が育児に理解があるとは限りません。育休明けすぐの退職は会社が古い体質で、マタハラやモラハラなどがある場合には特におすすめです。
まず育休明けは業務の引き継ぎをする必要がないため、すぐに退職することができます。通常の退職であれば引き継ぎや取引先への挨拶など時間がかかるうえ気を使うことも多いです。しかし育休明けは業務に携わっていないので、退職の精神的な負担は軽いでしょう。
また育児休業給付金を満額受け取ることができ、「形式上復職」したことになるので有給休暇を取得も可能です。金銭的に余裕があれば、退職後の不安は少なくて済みます。
さらに保育園に通いはじめたころの子供は体調を崩しがちです。子供のために早退や休暇を頻繁にすると、嫌な態度を取る上司や同僚もいるでしょう。しかし退職していれば上司や同僚に悩まされることもなく、育児に専念することができるはずです。
復職して仕事と育児の両立に慣れてから
仕事と育児の両立に慣れてからの退職は転職をするつもりの人におすすめできます。復職してしばらくしてからの退職は円満退職がしやすいので、退職のいいタイミングといえます。
転職してすぐの場合は時短勤務制度や有給が使えないこともあります。しかし復職ならば、制度を使いながら育児と仕事をこなすことも可能です。そのため育児と仕事を両立することに慣れ、どのようなペースで働くべきなのか見極めたうえで退職することができます。
ただし復職後のポジションや業務内容によっては退職しにくくなってしまうこともあるので注意しておきましょう。
育休明けに円満退職をするための3つのポイント
会社は育休中の人が復帰することを期待して、業務や人員の調整を行いながら待ってくれています。仕事は家族や自分の人生のためにするものなので、生活を犠牲にしてまで無理する必要はありません。しかしお世話になった会社にできるだけ迷惑をかけないように、円満退職することに努めましょう。
育休明けに円満退職するためには3つのポイントがあります。
- 退職2ヶ月前には相談する
- 退職の理由を明確にする
- 会社を否定する内容を退職理由として伝えない
ポイント①退職2ヶ月前には相談する
退職の意思を伝えるタイミングは通常の退職ならば、会社の就業規則に従います。しかし育休中に退職を決めたなら遅くとも2ヶ月前には会社に相談するようにしましょう。
一方民法627条には「退職を申し出てから2週間経過すれば退職できる」と明示されています。そのため「育休明けは引き継ぎがないんだからギリギリでもいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし会社は育休後の復帰を考えて業務や人員の調整を行っています。そのためギリギリに伝えると、後任の手配や業務の振り分けなどで非常に迷惑をかけることになるのです。
復帰を待ってくれていた会社のために、退職を決めたらできるだけ早く相談するようにしましょう。
ポイント②退職の理由を明確にする
退職の理由を明確にしておきましょう。育休明けの退職も理由は人によって違うはずです。
- 育児に専念したい
- 育児と仕事を両立できる仕事に転職したい
- 上司と合わないので転職したい
- 育休を機会にキャリアチェンジしたい
危険なのは「なんとなく仕事がめんどくさい」といったあいまいな理由です。仕事をするということは家庭の経済を支えていることを忘れてはいけません。
育休中は育児休業給付金の給付と社会保険料の免除があるので、経済的な不安は感じにくいです。しかし育休が終わると収入が減り逆に負担が増えます。家族が増えているので負担は大きくなる一方でしょう。
明確な理由もなく退職し、後悔しても元の会社に戻ることはできません。大切な家族を守っていくためにも、間違いない選択をしましょう。
ポイント③会社を否定する内容を退職理由として伝えない
会社に退職の理由を伝えるときは前向きな理由を伝えるようにしましょう。
退職を決意した決定打が上司のパワハラや会社の体質といった会社への不満であったとしても、正直に話す必要はありません。会社に対して否定的なことを言うと印象が悪くなり、退職の交渉をしづらくなる可能性があります。
退職の理由を伝えるときは「転職して新しいことにチャレンジしたい」といった前向きなことや「育児に専念したい」のような家庭の事情を伝え、会社に「そういう事情なら仕方ない」と納得してもらえるようにしましょう。
退職が難しいときには退職代行の利用を検討しましょう
育休明けの退職は円満退職が基本です。
自分で退職の意思を伝えることが望ましいですが「子供に手がかかって、退職の手続きが面倒」「上司が恐くて、退職を伝えにくい」といった事情がある場合、退職代行を利用することも円満退職の手段になります。
退職代行とは「依頼者に変わって退職の意思を伝えるサービスのことです。退職の意思を伝えるだけでなく、有給休暇や退職金の交渉もしてくれるので自分の希望に沿った退職をすることができます。
退職代行業者は運営元によって「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3つに分かれます。
運営元 | 料金相場 | 退職に関する交渉 |
---|---|---|
民間企業 | 20,000~50,000円 | できない |
労働組合 | 25,000~50,000円 | できる |
弁護士 | 50,000~100,000円 | できる |
上の表からわかるように民間企業の退職代行は、退職に関する交渉ができません。もし会社が「本人からの申し出でないと受け入れません」という姿勢の場合、民間企業の退職代行では交渉ができないので退職自体が失敗します。
確実に退職したいなら労働組合か弁護士の退職代行業者に依頼することをおすすめします。
育休後に退職は可能!退職のメリットやデメリット・円満退職の方法を解説まとめ
育児はやってみてはじめて大変なことやツライことがわかることも多く、復職することが不安になることもあるはずです。育休明けに退職するのは金銭面での不安が少ないうえ、育休中から資格を取得していれば転職にも有利になります。
育休明けに退職は円満退職が基本です。退職を決めたら、なるべく早く会社に相談するようにしましょう。会社はあなたの復職を期待して、業務や人員の調整をしています。お世話になった会社に迷惑をかけないよう配慮することも大切です。
もし自分で退職を申し出にくいようなら、退職代行サービスも円満退職の手段です。退職代行は退職の意思を伝えてくれるだけでなく、有給消化や退職金の交渉も行ってくれるのでスムーズかつ希望通りの退職することができます。