採用面接を合格してやっと入った会社であっても、試用期間を過ごすうちに「思った雰囲気と違う」「契約内容と実際の労働条件が違う」といった違和感を覚えていませんか?
自分の理想とのギャップを感じながら、働き続けるのは辛いですよね。今回は3か月間の試用期間中に「辞めたい」と感じている人に向けて、退職手順や上手に退職する方法を詳しく解説します。
- 3か月の試用期間中でも退職するのは可能
- 試用期間中に辞めたほうが会社の迷惑にならない
- 試用期間中に退職を伝えるときは「伝える手段」「伝える人」「伝えるタイミング」が大切
- 自分で辞めたいと言えないときは退職代行を使おう!
結論:3か月間の試用期間中に会社を辞める事は可能!
結論から言うと、3か月間の試用期間中に会社を辞めることは可能です。なぜなら労働者には憲法で「退職の自由」が認められているからです。
労働者というのは「働いている人」を指しているので、試用期間中の人も含まれます。試用期間中であっても、会社が労働者の退職の意志を無視して無理に働かせ続けることはできません。
退職したことを理由に違約金や罰金を払わせるのは、労働基準法第16条で禁止されています。
労働契約書や就業規則に「試用期間中の退職した場合、違約金を支払わせる」「入社後3年以内の退職には罰金を課す」といった内容があっても、規定に従ってお金を払う必要はありません。
法律では2週間前までに申し出る必要があるという規定がある
正社員の場合、民法第627条によって退職について以下のように定められています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。(民法第627条)
引用元:e-Gov検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
つまり辞めたい日からさかのぼって、2週間前には退職を伝える必要があります。また会社ごとに退職のタイミングは決められています。
会社の決まりと法律であれば法律のほうが優先されますが、円満退職したいなら会社の規定に則って退職するようにしましょう。
会社側からすると試用期間中に辞めてくれた方が迷惑じゃない
「試用期間中に辞めるのは迷惑じゃないか?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。会社にとっては試用期間中かどうかに関わらず、「退職」そのものが迷惑です。
人の採用には採用の広告費や採用後の教育など、たくさんのお金がかかっています。お金をかけて選んだ人材に辞められるのは、会社にとって損失です。
しかし辞めるなら試用期間中のほうが、迷惑はかかりにくいといえます。試用期間中は言葉の通り「お試し期間中」なので、職場の中でも1人前扱いされていません。
どんな仕事にも先輩や上司のサポートがついていて、試用期間中の人だけで抱えている業務やその人がいないとわからない仕事というものはほぼないはずです。
そのためたとえ試用期間中の人が退職しても、業務において会社が大きな痛手を被ることはないでしょう。
3か月間の試用期間中に会社を辞める際におすすめな退職理由
試用期間中に会社を辞める際におすすめしたい退職理由は3つです。
- 業務内容がイメージと違う
- 社風や社内の雰囲気が合わない
- 体調不良で働けない
退職理由はできるだけ本当のことを伝えたほうがいいです。しかし会社への不平不満などネガティブな理由を伝えてしまうと、トラブルになって退職しにくくなる可能性もあります。
かといって転職やキャリアアップといった理由をあげると「入社したばかりなのになんで?」と納得してもらいにくいでしょう。
試用期間中は「お試し期間」です。「試しに働いてみた結果自分に合わなかった」と伝えれば、たいてい問題なく退職することができます。
ただし上司のタイプによっては「合わない」という理由を受け入れてくれない場合もあります。そのようなときには「体調不良」という退職理由を検討してみてください。
体調不良れ働けない人を無理に働かせることは法律違反になるので、上司も強く引き止めることはしないはずです。
3か月の試用期間中に退職する際の伝え方
ここからは、3ヶ月の試用期間中に退職するときの伝え方をご紹介したいと思います。押さえておきたいポイントは「伝える手段」「伝える人」「伝えるタイミング」です。
- 伝える手段:基本は直接だが法律上は電話やメールでもOK
- 伝える人:まずは直属の上司に伝える
- 伝えるタイミング:始業前・終業後・休憩時間
3つのことに理解しておけば、スムーズに退職できるはずです。
伝える手段:基本は直接だが法律上は電話やメールでもOK
社会人の基本的なマナーとして、退職を伝える手段は「直接口頭で伝える」です。職場へのお詫びの気持ちやお世話になった感謝の気持ちを直接言うことで、会社への誠意伝えることができます。
しかしこれはあくまで「社会人としてのマナー」です。実は法律では「直接伝えなくてはいけない」といった決まりや罰則は一切ありません。
直接伝えるのが困難なときは電話やメールを使って伝えるのも問題ありません。ただし電話やメールはお互いに顔が見えないため、伝える言葉遣いや表現に注意する必要があります。
伝え方を間違ってしまうと、相手に不愉快な思いをさせるかもしれません。また伝えたいことがうまく伝わらず、退職できないこともあるので注意しましょう。
伝える人:まずは直属の上司に伝える
直接口頭でも、電話やメールであっても伝える相手はまずは「直属の上司」です。順番を飛び越えて他の上司や人事部に伝えると、上司の管理能力が疑われてしまってお世話になった上司に迷惑を掛けることになります。
ただし、退職したい理由が「上司からのパワハラ」だった場合は人事部に直接訴えるのもアリです。パワハラをしてくる直属の上司に伝えるのは怖いですし、直接伝えてパワハラの事実が隠されてしまったら悔しいですよね。
伝えるタイミング:始業前・終業後・休憩時間
最後に大切なのは、伝えるタイミングです。タイミングが悪いと「忙しいからまた後で」とまともに取りあってもらえない可能性があります。
退職を伝えるタイミングは3回「始業前」「始業後」「休憩時間」です。
- ①始業前・・・就業前はまだ出勤している人が少ないので、他の人に聞かれずに上司とゆっくり話せる。
- ②就業後・・・人が少ない。繁忙期は残業で忙しい人も多いので注意。
- ③休憩中・・・休憩中は上司とゆっくり話せる。しかし上司が社内にいるとは限らない。
いずれにしても、上司に「お話したいことがありますので、お時間いただけますか?」と聞いてから伝えるようにしましょう。万が一その時のタイミングが悪くても、また上司の方から時間を作ってくれるはずです。
3か月間の試用期間中に会社を辞める際の流れ
3ヶ月の試用期間中に会社を辞める際の流れをご紹介します。
自分で辞めたいと言えない人は退職代行を使おう
職場の雰囲気や体調の状況によっては自分で「辞めたい」と言い出せない人もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのようなときには退職代行を利用しましょう。退職代行は「依頼者に代わって退職を伝えてくれるサービス」です。
- 会社に行かなくても退職できる
- 上司に会わずに退職できる
- 会社や上司と連絡を取らなくていい
- 即日退職可能
- 未払残業代の交渉ができる
- 退職書類が確実にもらえる
退職代行を利用すれば、苦手な上司に面と向かって話さなくても退職することができます。また上司からの引き止めや脅しに自分で対応する必要がないので、退職の精神的な負担をほとんど感じることがありません。
3か月間の試用期間中に辞めるメリット
試用期間中に辞めてしまうと周囲からは「甘え」「逃げ」と言われるかもしれません。しかし働き続けるよりも、大きなメリットが3つあります。
- ブラック企業からいち早く脱出できる
- 合わない仕事を無理に続ける必要がなくなる
- 情が湧いて辞めにくい状態になることを避けられる
メリット①ブラック企業からいち早く脱出できる
一つ目のメリットはブラック企業からいち早く脱出でき、ストレスや心身の不調から解放されることです。
試用期間中に「この会社変じゃないかな?」と感じても、まだ慣れてないからだと気にしないようにする人も多いでしょう。
しかし試用期間中の「おかしい」という勘は意外と当たっています。というのも試用期間中はまだ入社して日が浅く会社に染まっていないため、職場の様子や会社の体制をフラットな目線で見ることができるからです。
強いストレスを感じながら無理に働き続けると、心身を壊して働けなくなってしまうこともあります。手遅れになる前に脱出するのはとても賢明なことです。
メリット②合わない仕事を無理に続ける必要がなくなる
合わない仕事を無理に続けていても、なかなか成果が出せず同期達にどんどん差をつけられていく可能性があります。
実力が開いていくことは昇給や昇格に直結していくので、同期から大きく出遅れてしまうと仕事の意欲もなくなっていくことでしょう。
合わない仕事をして自分だけ低い給料をもらっているのは、はっきり言って時間の無駄です。早い段階で「この仕事は自分に合わない」ことに気づければ、違う仕事に就いて充実した時間を過ごすことができます。
メリット③情が湧いて辞めにくい状態になることを避けられる
試用期間中はまだ職場の人との付き合いも浅いです。しかし長くいればいるほど人との付き合いが深くなり、職場だけでなく取引先や顧客など繋がりが広がっていきます。
人間関係が深まってしまうと、「自分が辞めると職場の人が困る」「取引先の○○さんと会えなくなる」など、会社や仕事に対してどんどん情が湧いて辞めにくい状態になります。
人との関係や愛着が強くなる前に退職してしまったほうが、退職するときの後ろめたさを感じなくて済みます。
3か月間の試用期間中に辞めるデメリット
試用期間中に退職するのはメリットばかりではなく、デメリットもあります。
- 会社の表面しか見えていないまま辞めることになる
- 辞め癖がついてしまう恐れがある
辞める決意が固まっている人にとっては些細なデメリットかもしれませんが、確認しておきましょう。
デメリット①会社の表面しか見えていないまま辞めることになる
試用期間中というのはまだ入社して間もないので、会社の表面しか見えていないまま退職してしまうことになりかねません。
上司に退職を伝える前に、「自分が辞めたい本当の理由」を今一度考えてみるようにしましょう。あなたが辞めたい理由は会社を辞めないと解決しないことなのでしょうか?
- 仕事が難しい
- なんとなく職場の雰囲気に馴染めていない
仕事が先輩のように早くこなせなかったり職場の人に馴染み切れなかったりするのは、単に「新参者」だからというだけで時間が解決してくれる場合も多いです。
会社はいったん退職してしまうと、戻ることはできません。退職したい理由を分析して、後悔のないようにしましょう。
デメリット②辞め癖がついてしまう恐れがある
試用期間中という短い期間に会社を辞めると、辞め癖がついてしまう恐れがあります。例えば「先輩の○○さんと気が合わなかったから」といった理由で退職してしまったら、転職しても気の合わない先輩がいるたびに会社を辞めなくてはいけなくなりますよね。
会社は年齢や経験、価値観の違う大勢の人が一緒に働いています。そのためお互い譲り合ったり認め合ったりして、人間関係を築いていくことも必要です。
繰り返しになりますが、「自分の辞めたい本当の理由」をよく考えてから会社を辞めるようにしましょう。
3か月の試用期間中に退職する際の注意点
3か月の試用期間中に退職する際には注意していただきたいことが3つあります。
- 気まずいからといってバックレるのは法的リスクがある
- 短期の離職を繰り返すと転職で不利になる
- 試用期間の場合は即日退職が難しい
注意点①気まずいからといってバックレるのは法的リスクがある
3か月の試用期間中に退職するのは気まずいという気持ちは、よく理解できます。かといってバックレるのはやめましょう。
【不法行為】 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(民法第709条)
引用元:e-Gov検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
バックレはこの不法行為にあたるとして、会社から損害賠償請求される恐れがあります。実際に損害賠償請求される可能性は稀ですが、バックレが法律違反であることは理解しておきましょう。
注意点②短期の離職を繰り返すと転職で不利になる
短期間に退職を何度も繰り返すと、転職で不利になります。短期間で退職・転職を繰り返している履歴書を提出すると「うちも短期間で辞めるのかな?」と採用担当者に疑われてしまいます。
また短期間に退職している人は仕事のスキルがちゃんと身に付いていないことが多いです。年齢が上の転職になるほどスキルや経験、実績を求められるようになるので、年齢を重ねるほど就職が厳しくなっていきます。
自分の望む仕事に就くために転職しているはずが「いつの間にかどこにも受け入れてもらえなくなる」ということも怒りかねないので、注意しましょう。
注意点③試用期間の場合は即日退職が難しい
「試用期間中ならその日のうちにできるのでは?」と即日退職を狙っている人もいるかもしれませんが、試用期間中かどうかに関わらず基本的に即日退職は無理です。
先述した民法第627条にもある通り、法律でも「退職は退職の意志を伝えて2週間経過してから」と定められています。
ただし「上司からパワハラを受けて、ひどい体調不良である」といった迅速に対応するべき問題を抱えている場合は、退職代行を利用して退職するのも有効な方法です。
3か月間の試用期間中に辞める事は可能?まとめ
3か月間の試用期間中に辞めるのは可能ですが、基本的に即日退職するのは難しいです。どうしても即日退職したいという辛い悩みを抱えている場合は、退職代行を頼ってください。
退職代行を利用すれば上司に会わずに退職できるので、退職の気まずさや精神的な負担を感じずに退職することができます。