2022年4月から「育児・介護休業法」の改正がスタートするなど、近頃は「育児休業の分割取得」や「夫婦間での育児休業の交代取得」など育休の取りやすい環境が整えられつつあります。
しかし「育休が取れる」ということと、「育児をする」ということは全く別物です。
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結論:育休中に退職は可能
結論から言うと育休中の退職は法律違反ではないので、退職しても問題ありません。育児は実際にやってみないとわからないことばかりです。
そのため子どもが生まれる前は復職して家事と育児を両立するつもりであっても、家庭の事情や自身の体力などの問題で退職を考える人も少なくないでしょう。
育休中に退職するときに気をつけたい5つのポイント
子どもが生まれると想定通りにいかないことも多く、復職が難しくなることもあり得ます。育休中の人が退職することは会社も想定内なので、退職を申し出ることを悩む必要はありません。
少しでも損せずに退職するためには、気をつけたいポイントがあります。
- 退職を伝えるタイミング
- 育児休業給付金・保険料免除がなくなる
- 退職日をいつにするか
- 有給残日数をフル取得する
- 育休中の転職活動は子どもの預け先を決めてから
ポイント1:退職を伝えるタイミング
法律では退職の申し出は「退職の2週間前」と定められていますが、基本的には会社の「就業規則」に定められているルールに従うようにしましょう。会社によって退職の申し出をするタイミングは違いますが、1~2ヶ月としていることが多いようです。
育休中は業務に関わっていないので引き継ぎをする必要がありません。そのため「育休が終わるギリギリまで、退職を申し出る必要はないのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし会社ではあなたが復職することを考えて、ポジションを空けていたり業務の調整を行っていたりします。
お世話になった会社に迷惑をかけないためにも、退職を決めたらできるだけ早く申し出るのがベストでしょう。
ポイント2:育児休業給付金・保険料免除がなくなる
育休中に退職すると、その時点で育児休業給付金の受給がなくなります。育児休業給付金の受給期間は原則産前・産後休業(出産後8週以内)が終わった翌日から生まれた子どもが1歳になる前日までです。さらに条件を満たせば子どもが2歳になる前日まで受給できる可能性もあります。
受給額は最大67%なので、月収30万円だと約20万円が受給可能です。家族が増えたなかで、それだけの収入がなくなると考えるとかなりの痛手になるはずです。
さらに休職中は社会保険の支払いが免除されますが、退職することによって免除も打ち切られます。そのため配偶者の扶養に入るか、国民健康保険・国民年金の手続きをしなくてはいけません。
国民年金に関しては2019年4月から産前産後期間の免除制度が始まり、国民年金第1号被保険者は出産予定日、または出産日が属する月の前月から4ヵ月間の産前産後期間は国民年金保険料が免除されるようになりました。ただし社会保険に比べて期間が短いため、育休中に退職する場合は免除対象に当てはまりにくいでしょう。
- 育児休業給付金がもらえなくなる
- 国民健康保険・国民年金を納付しなくてはいけなくなる可能性がある
育休中に退職すると、収入が減って支出が増える可能性が高いことを理解しておきましょう。
ポイント3:退職日をいつにするか
退職日によって育児休業給付金が受給できるかどうかが変わる可能性があります。育児休業給付金は1ヵ月単位で計算され、2ヵ月分がまとめて振り込まれる仕組みになっています。
例えば育休を5月3日から開始した場合、1ヵ月の支給期間は5月3日~6月2日、6月3日~7月2日となりこの2ヶ月分がまとめて入金されます。育児休業給付金の残念なのは途中で退職したからといって、日割り計算で支給はしてくれないというところです。
つまり退職日によっては、1ヵ月分の給付金を損してしまうことになります。5月3日から育休開始の場合は毎月の2日を区切りに退職日を検討すると、最後まで漏れなく育児休業給付金を受け取れることになります。
- 退職日が7月31日の場合・・・7月3日~8月2日までの給付金は受け取れない
- 退職日を8月2日にした場合・・・7月3日~8月2日までの給金が受け取れる
ポイント4:有給残日数をフル取得する
育休中に退職すると有給に残日数があっても取得は不可能です。しかし形上、復職してしまえば有給取得は可能になります。
つまり「育休を使い切ってから復職して有給消化して退職」すれば育児休業給付金も満額もらえるうえ、有給休暇分休みながら給料ももらえるので非常にお得です。
しかしこのような退職の方法は違法ではないものの、会社や同僚によく思われないでしょう。円満退職をしたいのであれば、あまりおすすめはできません。
ポイント5:育休中の転職活動は子供の預け先を決めてから
育休中の転職活動はなにも問題ありません。ただし、面接の際に「子どもの預け先が決まっていないので、働けるかどうかわかりません」というわけにはいきませんよね。
子どもの預け先といえば認可保育園が一番に思い浮かびます。しかし認可保育園の場合、自治体によっては保育園の申し込み時の「就労証明書」と入園後の「復職証明書」の勤め先が異なると、入園が取り消されることもあります。
- 認定こども園
- 認可外保育所
- ベビーシッター
- ファミリーサポート
認可保育園以外にも子どもを預ける手段はあります。今後のライフスタイルなども踏まえて、預け先を確保してから転職活動をするようにしましょう。
育休中に退職したら失業手当はもらえる?
そもそも失業手当を受給するには以下の条件があります。
- 退職日直前の2年間において、雇用保険加入期間が合計1年以上あること
(会社都合による失業の場合、退職日直前1年間において、雇用保険に加入期間が合計半年以上あること) - 現在求職活動が可能であり、働く意思があること
雇用保険の加入期間も大切ですが、なにより「今すぐ働ける状態」で「働く意思」があるかどうかが重要になってきます。さらに失業手当は退職日から1年間で給付期限となるので、それ以降に受給申請することはできません。
ただし出産・育児といったすぐに働けないやむを得ない事情がある場合は「受給期間延長」の手続きをすれば給付期限を最大4年まで引き延ばすことが可能です。
また出産のような事情で退職した場合「特定理由離職者」に当てはまるため、「給付制限期間がない」「一般離職者より給付日数が増える」といったメリットもあります。
【一般的な自己都合退職の場合の給付日数】
加入期間 | 1年未満 | 1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
全年齢 | - | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
【出産・育児などで退職した場合の給付日数】
加入期間 | 1年未満 | 1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 |
90日 |
90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上
35歳未満 |
120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上
45歳未満 |
150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上
60歳未満 |
180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上
65歳未満 |
150日 | 180日 | 270日 | 240日 |
育休取得後の退職パターン3つと注意点
育休を取得して退職するのには3つのパターンがあります。
- 育休中に退職する
- 育休明けを待って退職する
- 一度職場に復帰してから退職する
それぞれのパターンで退職した場合どのようになるのか説明していきます。
パターン1:育休中に退職する
育休中に退職するとその時点で育児休業給付金を打ち切られるだけでなく、退職日のタイミングが悪いと1ヵ月分の給付金を損してしまう可能性があるので注意が必要です。ただし退職日までに支給済みの給付金は返還する必要はありません。
また失業手当を受給しようと思うと、その期間は配偶者の扶養に入れず国民健康保険と国民年金保険料を支払い義務が発生します。
育休中に退職すると金銭面での負担が大きくなる可能性があるので、注意しましょう。
パターン2:育休明けを待って退職する
育休明けに退職すると金銭面でもっとも得します。このパターンでは「育児休業給付金」「有給休暇」を全て取得可能です。
しかしこの方法はあなたの復帰を待ってくれている会社の人達を裏切る行為になりかねません。法律上は問題ありませんが、やむを得ない事情がない限りはやらないほうがいいでしょう。
パターン3:一度職場に復帰してから退職する
育児と仕事両立できるかどうかは、実際やってみると「想像以上にハードでツライ」と感じる人が多いことでしょう。
会社にフレックスや時短などのフォロー制度があり、うまく運用されていれば働き方を考えるという手段もあります。しかし残念ながら育児に理解がある会社ばかりではありません。
かといって、復帰後数日で退職するのはよくありません。すぐに辞めてしまっていては、今後転職したとしてもまた同じ理由で退職を繰り返してしまう可能性も考えられます。
一度復職したなら半年ほどは頑張ってみましょう。もしかすると育児と仕事の両立のコツがわかってきて、仕事を続けようという意欲が湧いてくるかもしれません。
それでももしツライなら上司に相談したうえで、就業規則にのっとった退職をするようにしましょう。
最初から退職するつもりで育休を取得するのはNG!
育児休業給付金は「労働者が育児休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助・促進することにより、育児をする労働者の職業生活の円滑な継続を目的」としています。つまり、復職することが前提として給付されているものです。
もし復職するつもりなく不正受給をしていた場合、受け取った給付金を返還しなくてはいけません。
また不正受給が悪質な場合、受給額の3倍納付や財産の差し押さえ、詐欺罪での処分の可能性もあります。退職するつもりでの育休取得は絶対にNGです。
育休中に退職しようと思う3つの理由
育休中に退職を考えるのには大きく3つの理由があります。
- 子育てと仕事の両立が難しい
- 家庭の事情で復職できない
- 育休明けに自分のポジションがなくなっている
子どもが産まれることによってライフスタイルに大きな変化があるだけでなく、職場が変化していることにも不安を感じる人は多いようです。
子育てと仕事の両立が難しい
育児はやってみると想像以上に難しいはずです。育児の先輩たちの話を聞いても「そんなことできるかな?」と不安に思うことも多いでしょう。そもそも「育児」「仕事」という全く別領域のことを完璧にこなそうとするのは、かなりハードルが高いといえます。
無理に両立しようとするのではなく、一度会社から離れてみて落ち着いてから改めて仕事を探すのも悪くありません。自分を追い詰めすぎずに、現状を冷静に見極めるようにしましょう。
家庭の事情で復職できない
子どもの体が弱くてそばを離れるのが難しい、といったことも退職の理由になります。育児の理解のある会社であれば、上司と相談して時短や部署異動などの対策も考えられます。
職場の環境によっては「子どもが熱を出した」などの事情で早退や欠勤を繰り返すと、嫌な顔をされることもあります。また「休みが多い」からと責任あるポジションや業務を任せてもらえないこともあるはずです。
復職したいならば、会社の風土や環境を踏まえて慎重に検討することをおすすめします。
育休明けに自分のポジションがなくなっている
「育児・介護休業法のあらまし」(厚生労働省)によると「育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること」と定められていますが、業務内容まで同じポジションに戻すようにということは示されていません。
そのため育休後復職しても、他の人が自分の業務に就いているということも多いです。またせっかく復職しても単純作業や簡単な業務ばかりを任せられ、キャリアアップが大幅に遅れてしまうことも少なくありません。
育休後の女性を悩ませる「マミートラック」とは
「マミートラック」とは、子育て中の女性が比較的責任が軽い仕事を任せられ、キャリアアップが遅くなることです。
もともとは産休・育休後に職場復帰をした女性が働きやすい環境づくりの過程でできたものですが、現在は「女性のキャリアアップの機会を閉ざす」といったネガティブな意味で使われています。
「マミートラック」には以下のような問題があります。
- 単純作業の仕事しか割り当てられない
- キャリア形成が困難
- 女性従業員のやる気を失わせる
「マミートラック」を解決できるよう各会社でも時短制度やフレックス制、リモートワークなどが進められていますが、解決までの道のりは長いようです。
育休中に退職を申し出るのが気まずい場合は退職代行を使おう
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育休中に退職を決めても、自分で退職を申し出るのが気まずいこともあります。そういうときには退職代行を利用して退職するのも手段の一つでしょう。
退職代行とは「依頼者の代わりに退職の意志を伝えてくれるサービス」です。依頼すれば以下のようなメリットがあります。
- 上司に直接会わずに退職できる
- 退職日や退職金などの交渉をしてくれる
- 退職完了まで会社と連絡を取らなくてもいい
退職代行は退職完了まで業者に全て丸投げで、依頼者は何もする必要がありません。自分では難しい退職日や退職金の交渉も行ってくれるので、希望通りの退職をすることができます。
さらに業者によっては無料で転職サポートが受けられるので、退職後の転職活動の精神的負担を軽減することも可能です。
「育児で疲れてしまって、会社と連絡をとる元気がない」といったときにも有効な手段なので、退職に悩んだときは気軽に相談してみましょう。
育休中の退職は可能?絶対に損しないための辞めるポイントや方法を徹底解説!まとめ
育児はいざやってみないとわからないことも多く、仕事と両立できるか不安になることも多いです。一度復職してから退職を考えるのもよいですが、自分の体力や状況を冷静に見極めて早めに対策を取ることが大切です。
退職は逃げではありません。育児と仕事の両立に自信がないのなら、一度仕事から完全に離れるのも対策の一つです。もし会社に退職を申し出ることが気まずいならば、退職代行を利用しましょう。
退職代行ならば自分で退職を伝えるツラさから解放され、希望通りの退職ができるはずです。